海外に荷物を送ろうとすると、予想以上にコストがかかること、また付随する手間が多いことに直面されると思います。ここでは、私自身が身の回りのものを海外移住先に送った経験から、各方法の利点とマイナス面をお話ししようと思います。
※すべて<日本→イタリア>
郵便局
EMS
海外発送の方法としてまず思い浮かぶのは、EMSではないでしょうか。日本郵便が提供する国際配送の種類はいくつかありますが、そのうちもっとも早い航空便での配送です。

<実際の例>
重量:3.7kg/内容物:雑貨・食品/送料:10,900円
発送→到着:7日間
7月10日 東京都内郵便局へ持ち込み
7月17日 イタリア国内取扱局到着
月曜日に発送して翌月曜日に届きました。郵便局のお届け日数表を見ると、日本(関東)→イタリアの場合、標準日数は9日*となっているので、早く着いたことになりますね。
*2024年5月時点の情報
船便
船便は航空便と異なり到着予定日が1〜3ヶ月と幅があります。本当に届くのかやや不安になりますが、航空便がかなりハイコストなため、たくさん荷物を送らなければならない場合、EMSの半額以下の料金は魅力的です。
<実際の例>
重量:8kg/内容物:衣類/送料:7,300円
発送→到着:2ヶ月6日間
10月18日 東京都内郵便局へ持ち込み
10月19日 川崎市内郵便局(国際交換局から発送)
12月21日MALPENSA LON(国際交換局に到着→税関検査)
※マルペンサ:イタリア ミラノ
12月23日イタリア国内取扱局到着
12月24日発送先到着
郵便局国際郵便マイページサービスの照会結果は概ね上記の通りですが、荷物に貼り付けられた送り状を見ると、京都やロッテルダムを経由したことが分かります。
荷物が日本を出発した後は照会情報に動きがなくなるので心配になりますが、ダンボールはガムテープが全面に巻き付けられ、破れることも崩れることもなく無事届きました。
国際郵便 料金・日数計算 – 郵便局サイト
クロネコヤマト国際宅急便 国際パーセルサービス
ヤマト国際宅急便 vs 日本郵便EMS 送料価格比較
海外発送=EMS(日本郵便)というイメージだったので、とくに他の配送会社を検討することはなかったのですが、移住に伴いそれなりの量の荷物を送らなければならず、EMSの価格はかなり痛手。かといって時間的にも安全面でもすべて船便で送るわけにもいかず、他の海外配送業者を探した結果、たどりついたのがクロネコヤマトさんの国際宅急便です。
最初に郵便局の国際郵便とクロネコヤマトの国際宅急便の料金・日数を比較します。
5kgまで ※ヤマト80cm以内 | 10kgまで ※ヤマト100cm以内 | 15kgまで ※ヤマト120cm以内 | 所要日数(イタリア) | |
---|---|---|---|---|
クロネコヤマト | 7,200円 | 13,700円 | 22,200円 | 発送日+5〜7日 |
郵便局(EMS) | 13,000円 | 23,500円 | 34,000円 | 9日 |
荷物サイズの点でやや違いがありますが、EMSより安く早いことが分かります。
安くてもヤマト運輸国際宅急便をオススメできない理由
安くて早いことを前段でお話ししましたが、私の経験上ヤマト運輸さんの国際宅急便にポジティブな印象を持っていません。実体験からその理由をお話しします。
理由1: 配達員の方が海外配送に慣れていない
事前に海外配送用の送り状を入手し、自宅で集荷してもらいました。海外配送用の送り状はインボイスが必要なことから(これは郵便局も同じ)かなり複雑です。
インボイスには内容物の品名、コード、原産国などを記入する必要があるのですが、配達員の方が必ずしも海外配送用の送り状に慣れているわけではありません。そのため作業に時間がかかったり、その過程で誤りや不明点が生じ、後日もう一度集荷作業のやり直しをするということがありました。
「HSコードって何ですか?」というようなことは郵便局ではありませんでした。
(もちろんヤマト運輸の配達員の方を批判しているのではありません。)
理由2:配送先国の配送業者でのトラブル
荷物が配送先の国(イタリア)に渡った後は、UPS(ユナイテッド・パーセル・サービス)に引き継がれるのですが*、ここで問題が生じました。具体的にその流れをたどります。
<実際の例>
重量:8kg(120サイズ)/内容物:衣類
送料:22,200円+関税28.22€(約4,800円)=27,000円
重量:8kg(100サイズ)/内容物:雑貨
送料: 13,700円+関税25.76€(約4,400円)=18,100円
発送→到着:約2週間
12月3日 東京都内自宅にて集荷
12月12日 UPSより通関手続きに必要な書類を提出するよう連絡(TEL/Email)を受ける
12月中旬配送先到着
1月関税の請求書が届く
荷物が手元を離れて約9日後、宛先にした移住先の家人宛にUPSから電話があり、荷物の内容や目的を問われました。送り状(インボイス)には「Personal belongs」と記載し、実際送ったものはすべて自分が使っていた服や小物だったので、単価設定はごく少額(0円にすることはできない)にしたのですが、それなりの量の荷物を一度に送ったことで販売目的とみなされたようです。
税コード(イタリアで一人ひとりに設定された税金に関するマイナンバーのようなもの)を聞かれたり、私自身が対応できればいいのですが、宛先の家人に迷惑をかけてしまいました。
電話での対応の後も、結局書類を提出しなければならなくなり(これも送り主である私ではなく受け取り主に設定した人)、さらに迷惑をかけるわ、時間はかかるわで、自分自身が使うものを送ることがこんなに大変なものかと思いました(宛先名が別人なんだから私物を送ったことなんて第三者からは分かるはずもないので仕方ないのですが……)。
関税については荷物到着時に配達員の方にお渡ししましたが、さらにその後UPSから郵送で請求書が届きました。その内容が
FATTURA NON PAGATA(未払いの請求書)
「元の請求書は SDI 経由で税務当局に電子的に送信されました」
というもので、大きく印字された「未払い」の文字と、税務当局に知らせるという文面に、これまでの経緯を含めて怒りと混乱を覚えました。
UPSにメールにて既に支払った旨を伝えると、この請求書は自動的に郵送されるもので、あなたの支払いは済んでいますと返信がありました。
というわけで、結果関税を合わせても郵便局のEMSより安く送ることができたことには違いないのですが、UPSとのやり取りが面倒……というよりこれが正当な手続きなのか不明瞭で、本当に必要なことだったのか分かりません。
可能であれば宛先名は自分自身にしたほうがいいですね。とはいえ私のようにその国の言語が堪能でない場合は結局第三者に頼らなければならない事態になってしまいますが……。
*ヤマト運輸とUPSは業務提携関係にあるため、ヤマト運輸の国際宅急便を利用すると配送先の国では必ずUPS配達されるようです。
<参考リンク>
UPSとの業務提携関係の変更について
UPSワールドワイド・エクスプレス・セイバー
まとめ
郵便局、ヤマト運輸の国際配送サービスを比較してみました。個人の経験としては、郵便局は送料がやや高いですがトラブルなし。ヤマト運輸は安いですが日本/配送先国それぞれでトラブルが生じ、結果受け取るまでにかなりの時間を要しました。
私の一連の経験ではこのような印象になりましたが、国際郵便を利用しても配送先の国で何か問題が発生する可能性はありますし、ヤマト運輸-UPSでの配送にしても、小さな荷物1つだけならスムーズに届いたと思われます。
意外と良いなと思ったのが船便です。2〜3ヶ月余裕を持って荷物を準備できるなら、すごくお得な手段だと思います。
荷物の量や配送日数に合わせて、海外引っ越しサービスなども検討してみるといいかもしれませんね。