冬のイタリア観光なら 必見! プレセぺの世界

街歩き
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イタリアには歴史的建造物や美しい街並みなど観光スポットがたくさんありますが、もし冬(12月、1月)にイタリアを訪れることがあったらぜひ見てほしい「プレセペ」をご紹介したいと思います。

Presepe(プレセペ)ってなぁに?

Presepe(プレセペ)とはキリスト降誕の場面を表した造形物で、クリスマスの時期にこれを各家庭や町の広場などに飾る風習があります。上の写真は町に設置されたものの一例で、プレセペにおける主要人物で構成されています。

こちらは家の中に飾られたジオラマタイプのもので、主要人物+住まう人々、動物が置かれています。イタリアの家庭では(……実際にはシチリアの家庭しか見たことがないのですが)クリスマス(イタリア語ではNatale=ナターレ)ツリーを飾ると同時にこちらも用意します。クリスマスシーズンになるといろんなお店にプレセペ用の人形や家、ひとまとめになったセットなどが販売されます。

この写真のものは小規模で、かつ人物のサイズ感がバラバラだったり質感が異なるものが置かれていたりとおおざっぱな感じですが、人によっては段組みにして山や街の様子を表現したり、動く風車を設置したりとかなり大掛かりです。
雛人形をおだいりさまとおひなさまだけ飾る家もあれば三人官女までの場合もあるし右大臣・左大臣、五人囃子まで飾る家もある、その違いと同じようなものだと思います。

▲家庭で作られた大きめのプレセペ。

Presepeの主要登場人物
イエス・キリスト:赤子の姿。誕生する12月24日深夜までは見えない場所に置かれる。
聖母マリア:中央にイエスとともに設置される。
聖ヨセフ:聖母マリアの夫でイエスの養父(養父キリスト教徒でない自分には違和感)。
羊飼い:羊背負ってる人。イエスの誕生を祝う。イタリアでは羊はとても重要な動物。
東方の三博士:聖母マリアの近くにいる明かに衣装が豪華めの三人。イエスを祝福するために訪れたという設定。

Presepe(プレセペ)を見に行こう!

Presepeの概要をご説明しましたが、ここからはたくさんの人が押し寄せる一見の価値ありのプレセペスポットをご紹介します。

実写版Presepe

Presepe(プレセペ)はキリスト降誕の場面を表した造形物で、主要人物であるイエス、聖母マリアやそれを取り巻く人々及び街並み、住う人々が表現されますが、これの実写版があるのです。

プレセペで設置される人形と同じく古い時代装束を身につけた人々が当時の人々の暮らしを再現するイベントが12月末から1月始めにかけて各地で開催されます。

1. Montalbano Elicona(モンタルバーノ)
「モンタルバーノ・エリコーナ」イタリア, シチリア州
イタリアで最も美しい村のひとつ. 「モンタルバーノ・エリコーナ」イタリア, シチリア州(© Antonino Bartuccio/SOPA Collection...

シチリアの右上のほう(ざっくり)に位置するモンタルバーノという小さな町。ここのプレセペには毎年多くの人が訪れます。標高の高さと12月、1月という季節が相まって雪が降ることも。
積もっていた場合車で道を通ることが難しくなっていたり、濃霧が出たりと、遠方からだと訪れること自体の難易度がやや高し。

▲入場口にあるテントでチケットを購入します。一人2€。入場時に半券回収。

イベントのために作られた仮設のものではなく、実際の古い家の中や通りにプレセペの時代の住人に扮した人々がいて、小麦を挽く、動物の世話をする、生活雑貨を作るなど当時の生活の様子を見せてくれます。

2024年12月・2025年1月に開催された回はフクロウ、鷹といった猛禽類を多く集めていたのが特徴的でした。プレセペの世界に登場する一般的な動物は羊、ロバ、牛、鶏など当時労働力や食糧源とされていたものです。前年に開催された回では、ペレセペにおいて基本的な動物たちだけでしたので、今回は趣向を変えたようです。

パスタを成形する人と微動だにしないうさぎ。(右)聖母マリアと赤子のイエス、聖ヨセフ役はどこのプレセぺにもいますが、三博士や写真のような兵士役は必ずしもいるとは限りません。

▲(左)荷物の運搬のためにロバを用いていた様子がジオラマのプレセペでもよく表現される。(右)小さな羊? ヤギ?を世話する少年。子羊を抱いた少女もいました。

【そのほか個人的な感想】
ちなみにこちらのイベント、Googleマップに4件だけレビューがついていますがどれもネガティブな内容かつ星2.8(2025年1月時点)と評価が良くありません。「待ち時間なげぇよ、寒いわ、その割に大したことなかったわ。」というのがコメントの要約です。それに対する私の意見が以下です。

時間>
30分〜1時間前に到着して先頭に近くに並びました。予定時刻から10分くらい過ぎて順次入場開始。2ターン目に入れました。年1イベントだし、現地に至るまでの景色も素晴らしいし、ワクワクの方が優って待ち時間のことはあまり気になりませんでした。レビューを投稿した方がどういうシチュエーションだったか分かりませんが、例えば家族にせがまれて仕方なく運転手した人と観光客のノリで来た人ではモチベが違うと思いますし、そういうことじゃないんかなぁと。

<寒い>
待ち時間のことも含めて防寒対策するべし。ここ元々寒いとこですから。

大したことない
もっと敷地が広い、動物の種類・数が多い、大掛かりな設備を用意している場所も確かにあります。ただ、この場所ならではの高低差のある町の作りや演者の方々の雰囲気が素敵だと思ったので、別のさらに大きいプレセペに行った後も、モンタルバーノしょぼかったな、とは思いませんでした。少なくとも日本人が初めて行ってがっかりすることはないんじゃないかなぁ。

ただ、トイレだけは困る可能性があります。それはここに限らずもっと有名な観光地も例に漏れず。街の広場近くに誰でも利用できる常設のものがありますが、水が止まっていました。プレセペの入り口近くにもトイレのサインがありましたが、そちらはどんな状況だったのか分かりません。前の年にトイレが使えない可能性があることを学んだ私の対策が「家に帰るまでトイレに行かない」でしたから。

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2. Riposto(リポスト)

海沿いの街リポストで開催されるプレセペ。街の中心地からは離れていて周囲は住宅街。イベント開催時は車の駐車場所を見つけるのが第一関門です。

入場自体は無料で、退場時に任意の金額を寄付する形式。敷地内で住民役の人たちがフォカッチャを作って販売していたり、チーズやワイン、花などその場で食べたり買ったりできることが特徴。それほど大きな敷地ではなく展示される動物の種類や数は限定的ですが(以前はもっとたくさんの動物を展示していたそう)、時間ごとの人数制限がなく、順路もとくに定まっていないので、混んでいるゾーンは後回しにして空いているところから見ていく、というように自由に歩き回れます

▲聖母マリア役とともにロバ、そのほか羊、鶏、鳥類がいた。2024年12月(2025年1月)の回には豚も。

▲熱した金属を打って鍛える様子はなかなかの迫力。

3. Trappitello(トラピテッロ)

シチリア随一の観光地であるタオルミーナのフラツィオーネ(市とそれに属する区町村のようなもの)であるトラピテッロ。ここからタオルミーナはかなり遠いですが、同じく観光地として人気のジャルディーニ・ナクソスからはとても近い場所に位置します。

上記のリポストと同じく入場自体は無料で、帰りに任意の金額を寄付する形式です。金額に問わず寄付すると上写真のパンフレットがもらえます。

開始予定時刻の2、30分前に着きましたが、1時間近く待ちました。モンタルバーノの場合は待機場所から会場の様子が見えたり、演者の方が演奏する楽器の音が聞こえてきたりするのでワクワク感の中待つことができたのですが、こちらは中の様子がまったく見えず、開始時間を過ぎてからもぱらぱらとやってくる演者を見送りながら周りに何もない歩道の上で列に並ぶといった状態だったので、あまり期待できませんでした。

そしてその感想は実際に入場して敷地の3分の1のエリアを見終わるまで変わりませんでした。順路が決まっており、通路もそれほど広くないため、時間ごとに入場規制がなされていたものの、鮨詰め状態で動いていかねばなりませんでした。また、展示内容も同じようなものが複数あり、それほど目新しいと思えるものもなかったため、早く帰りたいとすら思いました。

その印象が変わったのは屋外エリアに差し掛かったところからです。

古い時代に使われていた風車や水車を動力源として実際にそれを用いて小麦を精製したり、金物を成形する様子を見ることができたり、様々な種類の動物(それぞれ数も多い)が展示されているのを近くで見ることができました。

また、通路も広くなり、各自行きたいところを自由に見て回れるようになりました。

結果的には大満足。帰りに出口で販売されていたフォカッチャを買っておいしく食べながら帰路につきました。

ちなみに入口と出口にそれぞれ仮設と常設のトイレがあり、仮設のほうは想像通りの状態、常設のほうは十分きれいだったとのこと。

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穴場スポット! ジオラマの大作

とくに観光地ではないシチリアの小さな町Santa maria la stella(サンタ マリア ラ ステッラ)。ここに「Fantasia dei presepi」と題した常設のプレセペスポットがあります(入場できるのは12月と1月の限られた日のみ)。

▲入り口に設置された小屋でチケットを購入します(たしか2€だったと思います)。

ここの魅力は様々な種類、しかもかなり大きな作品が見られること。

プレセペとして基本的なモチーフだけでなく、舞台を別の国に置き換えたもの、サンタクロースの国を表現したもの、戦地を再現したものなど、型にとらわれない自由な発想で作られています。

3、4回ほど行きましたが、どの時も数組の訪問客とすれ違うくらいで混んでいた印象はなく、ゆっくり見て回れました。

公式FBページ

まとめ

私が実際に行った3カ所の実写版プレセペスポット、1カ所のジオラマ版プレセペスポットをご紹介しました。

すべてシチリアという時点で対象外になってしまうかもしれませんが、プレセペはイタリア発祥ということで、本土にも各地に美しいプレセペスポットがあるようです。

<イタリア本土のプレセペスポット参考>

I presepi più belli d’Italia sono lo spettacolo del Natale

もしクリスマスシーズンにイタリア、シチリアを訪れることがあったらぜひプレセペにも注目してみてください。

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